子供が交通事故に!親が知っておくべき慰謝料と後遺障害

登下校中や公園からの行き帰り、自転車での移動中など、大切なお子様(幼児、小学生、中高生、大学生)が交通事故に遭われてしまったとき、ご両親が受ける衝撃と不安は測り知れません。

「痛がって泣いている子供を見るのが辛い」

「怪我の影響で今後の成長や学業、将来の夢に影響が出ないだろうか」

「仕事を休んで付き添っているけれど、この分の補償はもらえるのだろうか」

このように、親御さんはお子様の治療や心のケアに追われながら、同時に相手方保険会社とのやり取りという大きな重荷を背負うことになります。

子供の交通事故は、大人の交通事故とは大きく異なる特殊性があります。これらを知らないまま相手方の保険会社と示談交渉を進めてしまうと、本来受け取れるはずの適切な補償が受けられず、お子様の将来に悔いを残してしまう危険性があります。

本記事では、広島で交通事故被害に遭われたお子様とご家族に向けて、子供の交通事故に関して注意すべきポイントを、弁護士が分かりやすく解説します。

目次

1. 子供の交通事故が大人の事故と異なる4つの重要ポイント

子供は、体の構造や発達段階、社会的な立場が大人とは異なるため、交通事故の被害においても子供特有の事情を考慮する必要があります。

① 痛みを客観的に言葉で伝えることが難しい

特に幼児や小学校低学年の場合、自分の体のどこがどのように痛いのか、どんな不快感があるのかを正確に言葉で説明することができません。

大人のように「首から肩にかけて痺れがある」「天候によって頭痛がする」といった症状を訴えることができず、ただ機嫌が悪くなったり、夜泣きをしたり、体を動かすのを嫌がったりするだけだったりします。

そのため、痛みを周囲が察知できず、発見や受診が遅れたり、病院のカルテに症状が記録されなかったりするリスクがあります。

 ② 骨や脳の発育・成長への悪影響(将来への影)

子供の体は成長の途上にあります。骨折などのケガを負った場合、事故直後は問題がないように見えても、骨の成長線(骨端線)が損傷していると、数年後になってから「手足の長さに左右差が出る」「関節が曲がってしまう」といった成長障害・変形障害が表面化するケースがあります。

また、頭部を打撲した場合、成長とともに「集中力が続かない」「怒りっぽくなった」「学習についていけない」といった高次脳機能障害の症状が後から発覚することもあります。

 ③ 親の「付き添い」に伴う費用や休業損害が発生する

幼い子供が入院や通院をする場合、当然ながら親(保護者)の付き添いが必要不可欠です。

親が仕事を休んで通院に付き添ったり、家事をやりくりして入院先へ通ったりした場合、「親の休業損害」や「付添看護費」といった費用を相手方に請求することができます。

 ④ 子供の「過失割合(責任)」は大人と異なる基準で守られる

子供は注意能力や危険予知能力が大人よりも低いため、道路への急な飛び出しなどがあっても、大人と同じ基準で過失割合(責任の重さ)を問われるわけではありません。年齢や状況に応じて、子供側の過失割合が有利に修正されるルール(概ね13歳未満の場合)が存在します。

2. 子供の交通事故で請求できる慰謝料・損害賠償金の全種類

子供が交通事故に遭った場合、加害者に請求できる損害賠償金は非常に多岐にわたります。主な項目は以下の通りです。

請求できる損害項目

概要・対象

治療費・手術費

病院への実費(診察代、検査代、投薬代、入院費など)

通院交通費、通学交通費

通院や通学にかかった電車・バス代、自家用車のガソリン代、タクシー代(必要性が認められる場合)

傷害慰謝料(入通院慰謝料)

入院や通院によって子供が受けた精神的苦痛に対する補償

付添看護費

親が病院や自宅で子供の看護・付き添いをしたことに対する費用

親の休業損害

親が子供の付き添いのために仕事を休み、減収が生じた場合の補償

学習遅延に伴う費用

長期入院等で遅れた学力を補うための家庭教師代や補習費用

後遺障害慰謝料

後遺症が残ってしまったことに対する慰謝料(等級認定が必要)

後遺障害逸失利益

後遺傷害によって将来にわたって労働能力が低下することで得られなくなった収入の補償

以下では、特に親御さんが知っておくべき重要な項目について深掘りして解説します。

3. 親が請求できる「付添看護費」と「親の休業損害」の計算方法

子供が事故に負傷した場合、親御さんは仕事を休んだり、家事を犠牲にしたりして付き添うことになります。この負担は法的に損害として認められます。

3-1. 付添看護費(つきそいかんごひ)

付添看護費とは、親が子供に付き添った労力に対して支払われる費用です。入院と通院でそれぞれ計算方法が異なります。

【入院付添看護費】

子供が入院し、親が付き添った場合に請求できます。特に幼児〜小学生程度までは、病院の看護師がいても親の付き添いが不可欠と認められます。

【通院付添看護費】

子供が通院する際、親が付き添った場合に請求できます。小学生以下の子供であれば、基本的に通院付き添いの必要性が認められ、中高生であっても、ケガの状況等を考慮して認められます。

3-2. 親の休業損害相当額(仕事を休んで付き添った場合)

親御さん(父親・母親)が、お子様の入院や毎回の通院に付き添うために仕事を休み、給料が減ってしまった場合(有給休暇を取得した場合)、「親の休業損害相当額」を請求することができます。

ここで問題となるのが、「付添看護費」と「親の休業損害」のどちらを請求すべきかという点です。

基本的には、「親の休業損害相当額」が「付添看護費の相場(例:通院1日3,300円)」を上回る場合は、「親の休業損害相当額」を請求します。

例えば、お母さんが仕事を1日休んでお子さんの通院に付き添い、その日の給与カットが10,000円だった場合、付添看護費(3,300円)ではなく、休業損害として10,000円を請求することになります。

3-3. 専業主婦(主夫)のお母さんが付き添った場合

「自分はパートや会社勤めをしていない専業主婦だから、休業損害は請求できず、1日3,300円の付添看護費しか出ないのだろうか」と思われるかもしれません。

しかし、専業主婦であっても、子供の付き添いのために家事が疎かになったり、他の兄弟の世話を第三者に頼まざるを得なくなったりした場合、家事労働の価値(女性平均賃金)をベースに休業損害や付添費用が考慮されるケースがあります。諦めずに弁護士へご相談ください。

4. 子供の慰謝料を左右する「3つの基準」と増額のポイント

交通事故の慰謝料には、「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準」の3つの算定基準が存在します。

子供の交通事故であっても、この基準の違いによって受け取れる慰謝料の金額に数倍のひらきが生じます。

4-1. 傷害慰謝料(入通院慰謝料)の比較

例えば、事故によって骨折し、「入院1ヶ月・通院3ヶ月(実通院日数40日)」となった場合の傷害慰謝料を比較してみましょう。

このように、まったく同じケガ・同じ治療期間であっても、弁護士基準を用いることで慰謝料は約2倍〜3倍(この例では約55万~80万円の増額)になります。

4-2. なぜ子供の事故では弁護士基準への増額幅が大きくなりやすいのか?

保険会社は、「子供の怪我ですから」「自賠責の規定通りです」などと言って、低い自賠責基準や任意保険基準での示談を提示してきます。

しかし、裁判例では、子供特有の苦痛(学校に行けない、友達と遊べない、スポーツを断念せざるを得ないなど。また後遺障害が残存する期間や事故で奪われた将来の期間が長い)が考慮されています。そのため、弁護士が交渉に入ることで、保険会社の提示額から大きく増額されることがあるのです。

4-3. 親自身の「固有の慰謝料」が認められるケース

原則として慰謝料はお子様本人に支払われるものですが、以下のような深刻なケースでは、「我が子の悲惨な姿を見て強い精神的ショックを受けたご両親自身」に対しても、固有の慰謝料請求が法的に認められます。

このような重症ケースでは、ご両親の固有の慰謝料として数百万円の賠償が加算されることがあります。

5. 子供の後遺障害認定で注意すべき代表的な症状と認定のポイント

しっかり治療を行っても症状が完治せず、身体や心に不具合が残ってしまった場合、「後遺障害等級認定」を受ける必要があります。

子供の場合、大人とは異なる特有の後遺障害リスクが存在します。

5-1. 骨端線損傷(こったんせんそんしょう)・成長障害・変形障害

子供の骨の端には「骨端線(成長線)」と呼ばれる、骨が伸びるために非常に重要な軟骨組織が存在します。事故の衝撃でこの骨端線を骨折・損傷してしまうと、骨の正常な成長が止まってしまうことがあります。

5-2. 頭部外傷による「高次脳機能障害(こうじのうきのうしょうがい)」

頭を強く打った場合、脳の神経回路が損傷し、記憶力、集中力、感情のコントロールなどに障害が出ることがあります。

成人であれば、一定程度の症状回復が進んだ後は目立った回復がみられなくなることが多いとされています。

しかし、子供の場合、脳が損傷した程度だけではなく、脳の成長や精神機能の発達があるため、「実際のところどの程度、生活や仕事で困難を抱えることになるのか」判断をすることが難しいという問題があります。そのため、「いつ症状固定になるのか」「どこまで後遺障害として事故と因果関係があるのか」、慎重に経過を観察しながら判断する必要があります。※この点については、自賠責保険における高次脳機能障害認定システム検討委員会の「自賠責保険における高次脳機能障害認定システムの充実について」(報告書)が重要です。brain_detail_201805.pdf 

5-3. 顔や体に傷跡が残る「外貌醜状(がいぼうしゅうじょう)」

自転車事故や歩行中の事故で転倒し、顔や頭、首などに大きな傷跡(火傷の痕、手術痕、縫合痕など)が残ってしまうケースです。

5-4. PTSD(心因性PTSD)やむち打ち症

事故の強烈な恐怖から、車に乗ることや道路を歩くことを極度に恐れるようになる心理的トラウマ(PTSD)や、首の痛みが続くむち打ち症も後遺障害の対象となり得ます。小児科だけでなく、必要に応じて精神科や心療内科、整形外科の専門医を受診させることが重要です。

6. 子供の「逸失利益」はどう計算する?(将来働けなくなった補償)

後遺障害が認定された場合、最も大きな賠償項目となるのが「後遺障害逸失利益(いっしつりえき)」です。これは、「後遺症がなければ将来得られたはずの収入(稼ぎ)」を補償するものです。

「まだ働いておらず、収入がゼロである子供や学生の逸失利益はどうやって計算するのか?」という疑問が生じるかもしれません。

6-1. 基礎収入は「全労働者の平均賃金」を用いる

収入のない子供であっても、将来大人になれば働いて収入を得るのが通常です。そのため、法的には「賃金センサス(政府の統計)」における「全労働者の男女別平均賃金」を基礎収入として計算します(ただし、女子年少者については、男女別ではなく全労働者の全年齢平均賃金で算定するのが一般的です)。

幼児や小学生の場合、現時点で収入はありませんが、大人になったときの平均的な稼ぎ(年収約500万円前後)をベースに算出してもらえるため、逸失利益の金額は数千万円〜1億円以上に達することも少なくありません。

6-2. 大学生や高校生など、進路が決まっていた場合

すでに高校生や大学生で、就職内定が決まっていたり、特定の専門職(医師、看護師、エンジニアなど)を目指して専門教育を受けていた場合、一般的な平均賃金よりも高い「内定先の給与」や「特定職種の平均賃金」をベースに逸失利益を主張できる可能性があります。

個別の事情を考慮して「将来、このような収入が得られていた」ことを丁寧に立証していく必要があります。

7. 子供の過失割合は低く抑えられる?「過失相殺」と幼児の保護

交通事故では、被害者側にも不注意(過失)があった場合、その割合に応じて賠償金が減額されます(過失相殺)。

しかし、子供事故においては、法律上「過失責任を問われない(または過失割合が軽減される)」ことがあります。

7-1. 「事理弁識能力(じりべんしきのうりょく)」のない幼児(概ね6歳未満)

事故の危険を理解し、自分の行動を制御する能力(事理弁識能力)がない非常に幼い子供(概ね6~7歳未満)については、子供自身に法的責任(過失)を問うことはできません。

ただし、保護者(親)に付き添い時の不注意(例:手をつないでいなかった、目を離した)があった場合は、「被害者側の過失」として親の不注意が考慮され、賠償金が減額されることがあります。

7-2. 児童(小学生)や生徒(中高生)の過失割合の修正

小学生以上の子供になると、危険を察知する能力があるとみなされますが、大人と同じように扱われるわけではありません。

判例の基準(過失割合の過失相殺基準)では、歩行中や自転車乗用中の事故において、被害者が「幼児・児童(おおむね12歳以下)」である場合、大人の基本過失割合から「5%〜10%程度」被害者に有利に過失割合が修正(減額)されるルールになっています。

例えば、大人が急に道路を横断して跳ねられた場合の過失が20%だとすれば、小学生であれば10%〜15%に軽減されます。

7-3. 通学路やスクールゾーンでの事故

事故が発生した場所が「通学路」「スクールゾーン」「住宅街」「学校のすぐ近く」など、ドライバーが子供の飛び出しを予見して徐行すべき場所であった場合、加害者側の過失がさらに重くなり、子供側の過失割合がより低く抑えられます。

8. 親が今すぐ取るべき5つのアクション(証拠を残すために)

子供が事故に遭った際、親御さんが初期段階から適切な行動をとることが、後々の示談交渉や場合によっては後遺障害の認定においても有利になることがあります。

① 日常の様子や痛みの訴えを「日記・ノート」に記録する

子供は病院で医師を前にすると緊張して「痛くない」と言ってしまったり、うまく症状を伝えられなかったりします。

親御さんは毎日、以下の内容をノートにメモしておきましょう。

② 小児科だけでなく「専門医(整形外科・脳神経外科)」を受診する

事故直後は救急病院や小児科に搬送されることが多いですが、骨折や打撲、首の痛みなどは「整形外科」を定期的に受診してください。 頭部を打撲している場合は「脳神経外科」等でMRI検査等を受けましょう。整骨院や接骨院だけに頼ると、後遺障害の認定に必要な「医師の診断書」が書いてもらえなくなります。また、小児科だけだと後々の後遺障害申請において十分な後遺障害診断書が作成されない可能性があります。

③ 学校や保育園・幼稚園の先生と連携する

事故後、お子様が学校や園でどのように過ごしているか(体育を見学している、集中力がない、お友達とトラブルが増えたなど)を、担任の先生に定期的に確認し、連絡帳や面談で記録を残してもらいましょう。学校側の証言は、高次脳機能障害や精神的トラウマの客観的証拠になります。

④ 保険会社からの安易な示談提案に応じない

事故から数ヶ月経つと、相手方の保険会社から「示談金のご案内」が届くことがあります。

しかし、子供のケガは前述の通り「成長に伴う影響(骨端線損傷や高次脳機能障害など)」が後から発覚するリスクがあります。完全に完治したと確信できるか、後遺障害等級認定の結果が出るまでは、絶対に示談書にサインをしてはいけません。

⑤ 早い段階で「交通事故に強い弁護士」に相談する

子供の交通事故は、大人の事故以上に考慮すべき法的・医学的ポイントが複雑です。

保険会社と直接やり取りをするストレスから解放され、お子様の治療やケアに専念するためにも、できるだけ早い段階で弁護士に相談することをお勧めします。

9. 弁護士費用特約を活用すれば自己負担ゼロで依頼可能

「弁護士に依頼したいけれど、費用が心配」という親御さんもご安心ください。

ご自身や配偶者が加入している自動車保険、火災保険、傷害保険などに「弁護士費用特約(弁特)」が付帯されていれば、弁護士費用(相談料・着手金・報酬金など)を最大300万円まで保険会社が負担してくれます。

【知っておくべきポイント】

10. まとめ:大切な我が子の未来と権利を守るために

交通事故によって傷ついたお子様と、それを一番近くで見守り、心を痛めていらっしゃる親御さん。

突然の事故によって奪われた穏やかな日常や、将来への不安に対する補償は、適正な金額でしっかりと受け取るべきです。

相手方の任意保険会社は、どんなに親切そうに対応してくれても、会社としての利益を守るために「自賠責基準」や「任意保険基準」に基づいた低い金額しか提示してくれません。被害者が子供であっても、保険会社から自発的に「弁護士基準の満額」を提示してくれることはまずありません。

子供の正当な権利を守り、将来のために十分な補償(適正な慰謝料や逸失利益)を受け取るために必要なことは、親御さんの決断と、パートナーとなる弁護士の存在です。

当事務所では、広島県内および近隣エリアで交通事故被害に遭われたお子様とご家族のサポートに力を入れています。

「保険会社からの提示金額に納得がいかない」

「子供のケガの後遺症が心配」

「付き添いの補償について詳しく知りたい」

どんな小さな疑問やご不安でも構いません。まずは一度、当事務所の無料相談をご利用ください。大切なお子様のために、弁護士が親身になって最後までサポートいたします。

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