
むち打ちで1年間の通院サポート。非該当の判断を異議申立で14級へ。事故前年の収入を上回る基礎収入の認定で実質的な損害の賠償を受けた事案
- 後遺障害
- 14級
- 異議申立
弁護士法人ラグーン 広島支店(広島弁護士会所属)
依頼者は、事故後、手に強い痛みが続いていました。
治療を受けても改善する気配はありません。
同居する家族にも辛い症状を十分に分かってもらえませんでした。
また、依頼者は、事故によって仕事を休まざるをえなくなりました。
しかし、休業損害は十分に支払われませんでした。
次第に「自分の症状はしっかりと考慮されるのだろうか」「今後、十分な補償は受けられるのだろうか」という不安が強くなりました。
そこで、ラグーンへ相談に来られました。
ご依頼をお受けした後、まず取り組んだのが休業損害の問題でした。
依頼者は長期間仕事を休んでおり、保険会社から「そろそろ復帰(=休業損害の打ち切り)はどうか」と打診されている状況だったからです。
そこで、ラグーンでは、主治医と面談をし、
・なぜ仕事を休まざるを得ないのか
・症状が改善しにくい医学的な理由は何か
という点について、詳しく確認しました。
そのうえで、ラグーンでは、主治医の診断書等をもとに、依頼者が就労できない医学的な理由を保険会社に説明し、休業損害の支払継続を求めました。
結果として、保険会社は当方の主張を受け入れ、休業損害の問題を解決できました。
依頼者の傷病はCRPS(複合性局所疼痛症候群)という比較的専門性の高い傷病でした。
依頼者としては、専門的な治療を受け「少しでも症状を改善したい」という一心でした。
そこで、ラグーンでは転院のサポートをしました。
保険会社からは転院時の治療費の対応手続が煩わしいためか難色を示されました。
しかし、症状を丁寧に説明することで、最終的には転院と検査入院について保険会社の理解を得ることができました。
その後、治療を継続しましたが、専門的な治療をもってしても症状は改善せず、激しい痛み等の症状が残りました。
そこで後遺障害の申請を行いましたが、当初の認定は9級でした。
しかし、依頼者が訴えている症状の程度や治療経過等を踏まえると、9級という認定結果の妥当性に疑問があったため、異議申立を行うことにしました。
異議申立にあたっては、依頼者の現在の症状をまとめた陳述書や現状が記載された診断書を新たな証拠として提出しました。
その結果、当初の9級から7級へと認定が変更されました。
後遺障害等級が7級に変更された後、保険会社と賠償額について交渉しました。
しかし、双方の主張する賠償額には大きな隔たりがあったため、訴訟提起をすることになりました。
裁判で主な争点となったのは、依頼者に「素因」があるかどうかという点でした。
素因とは、簡単に言うと、事故以外で、被害者自身の病気や身体的な要因等が損害の発生や拡大に影響したと評価できるような事情のことです。
相手方側からは、「依頼者が怪我をしやすい体質であるからそれを考慮して賠償金額を減額すべき」との主張がなされました。
これに対して当方からは、被告側の主張は単に抽象論にとどまっていて具体的な素因を特定しているものではないこと、どのようにCRPSの発症や症状の増悪に影響したのか明らかではないことを強く主張しました。
また、CRPSという医学的な専門性の高い傷病であることを踏まえ、医療文献等をもとに、治療経過や症状について素因の影響はないことを丁寧に説明しました。
最終的に、裁判所は依頼者側に素因があるとは認めませんでした。
そのため、素因を理由とする賠償額の減額は行なわれませんでした。
裁判基準どおりの損害が認定されたため、和解により解決することとなりました。
CRPSは、交通事故の損害賠償において慎重な立証が必要となる傷病の1つです。
特に注意が必要なのは、臨床時の診断要件と自賠責保険の認定要件が異なるという点です。
よくあるのは、医師がCRPSと診断をしても、自賠責保険の審査で「骨の萎縮がない」として、CRPSを前提とした後遺障害等級の認定がなされないケースです。
後遺障害等級の申請では、自賠責保険の認定要件を意識して立証することが重要になります。
この違いを意識して立証活動を行わなければ、適切な後遺障害等級の認定がなされないことになります。
適切な後遺障害等級の認定がなされなければ、適切な賠償も遠のいてしまいます。
本件では、粘り強く後遺障害等級について主張をすることで適切な等級認定がなされました。
また、CRPSは、医学的な専門性が高い傷病です。
直接的な受傷内容からは想像ができないほどの激しい疼痛が続くという点が特徴的ですが、その医学的な原因は現在も正確には解明されていないとされています。
そのため、保険会社側からすると「被害者が訴える症状について客観的な証明がされていない。症状の原因について医学的な根拠がない。それほど症状がひどいのは、事故以外に原因(素因)があるからでは?」という主張をしやすい側面があるのです。
もし弁護士がCRPSの病態について医学的な知識を有していなければ、後遺障害等級の認定においても、訴訟においても、不当な認定がなされたり、上記のような主張に十分な反論ができず、不適切な減額がなされたりするリスクが高まります。
裁判で争点となった「素因」についても、相手方は依頼者の病歴と現在の症状を様々な理由で紐づけて、素因減額の主張をしてきました。
これらの主張は、一見すると「確かにそうかも…」という内容も含まれますが、1つ1つCRPSの病態と照らし合わせて医学的な観点から検証すれば、不当な主張であることが分かります。
結論として、保険会社側からの医学的な知識を前提とした主張に対しても、医師と連携をして、適切に反論ができました。
ラグーン広島支店では、依頼者が不利益を被ることがないように、普段から医療機関と積極的に医師面談を実施するなどして、まずは傷病の理解に努め、依頼者の現状を適切に把握し、保険会社からの医学的な主張にも対応できるように、日々研鑽をしています。
弁護士法人ラグーン 広島支店(広島弁護士会所属)
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