自転車乗車中の死亡事故について、裁判外で死亡慰謝料3100万円として示談が成立した事案

自転車乗車中の死亡事故について、裁判外で死亡慰謝料3100万円として示談が成立した事案

事件概要

  • 被害者:60代女性
  • 事故の分類:自転車
  • 傷病名:急性硬膜外血腫
  • 後遺障害等:死亡

依頼のきっかけ

被害者は、自転車で帰宅していたところ、丁字路交差点を左折した直後に、右方から進行してきた自動車に追突されて、頭部を損傷した結果、不幸にもお亡くなりになってしまいました。

被害者のご遺族(子2名と母)からの相談でした。

突然の不幸に見舞われたご遺族として、とても保険会社や加害者と話ができるような心境ではありませんでした。

また、ご遺族としては、被害者の生前の生活状況をあまり把握できていませんでした。

死後に確認をしたところ、被害者には借金があることが分かりました。借金も相続の対象になることから、交通事故に関する損害賠償請求権を相続すべきであるのか否かについても、悩まれているご様子でした。

この点については、ご相談時に、弁護士から今後の賠償として見込まれる金額とその手順をご説明して、借金を相続することによるデメリットは大きくないことを理解していただきました。

その結果、弁護士費用特約には加入されていませんでしたが、早い段階で、損害賠償請求に関する一切について、弁護士に依頼をして話を進めることをご決断されました。

解決までの経緯

刑事記録から読みとる事故態様。被害者に重過失はない

まずは、事故状況の調査(刑事記録の取得など)を行いました。

事故態様からして、ほぼ間違いなく加害者側に過失が認定され、かつ自賠責保険の認定においても当方側の重過失ありとして減額対象となるような事情は認められにくいという見通しを立てることができました。

そのため、相続放棄をする必要はないと早い段階で方針を確定させることができました。

その後、資料が揃った段階で、被害者請求(任意保険ではなく自賠責保険に対して直接請求して支払いを受けること)の手続を取りました。

想定どおり、自賠責保険では加害者側の責任が認定され、減額対象にもなりませんでした(被害者側に大きな過失がある場合に、一定程度の減額がなされることがあります。なお、本件では、当方が一時停止違反の飛び出しを認定される可能性もあったため、減額の可能性も否定できませんでした)。

死亡慰謝料は3100万円

自賠責保険から支払を受けた後、差額について、任意保険会社に請求をして交渉を開始しました。被害者に扶養されていた子がいたことも考慮して、死亡慰謝料としては一般的な基準(2800万円)に比べて高い金額3100万円を、賠償されるべき金額として主張しました。

保険会社は被害者の年齢等を考慮して、慰謝料について相場に比べてやや少ない金額(死亡慰謝料として2480万円)を提示してきました。

当方としては、上記のような理由を考慮し、実際に基準以上の慰謝料が認定された裁判例も参考に、当初の提案を維持して粘り強く交渉を進めた結果、最終的には死亡慰謝料(近親者固有の慰謝料を含む金額)を3100万円とすることで保険会社の合意が得られました。その結果について、依頼者も納得したことから、裁判外で和解をするに至りました。

弁護士の目 

「暗中模索」から「明確な方針」へ

交通事故は突然に発生します。お亡くなりになった場合、突然のことですから、本人の資産状況が全く分からないというケースは少なくありません。このような場合、多額の負債があれば、相続放棄を視野に入れる必要がでてきます。ましてや事故態様に争いがあり(または事故態様が不明で)受けることができる賠償金額について判然としないケースでは、今後の方針を立てることが困難になります。一般の方からすれば、暗中模索の状態です。

本件もご遺族は当初このような状態にありましたが、弁護士が速やかに方針を立てることで、相続放棄はしないという結論を出すことができ、法律問題を少しずつ解消していきました。この点で、ご遺族は早い段階で悩みから解消され、多少なりともお役に立てたように思います。

赤い本の基準は「一応の目安」にすぎない

また、本件では慰謝料の金額が争点となりました。赤い本(賠償実務において参考とされる書籍)によれば、一家の支柱にあたる方が亡くなられた場合の死亡慰謝料は「2800万円」を基準にするとされています。しかし、これは「一応の目安」にすぎません。赤い本でも「本基準は具体的な斟酌事由により、増減されるべきで、一応の目安を示したものである」と明記されています。つまり、事案によって慰謝料は基準から増額されることがあるのです。

実際に、赤い本の中には、加害者の過失の程度、死亡した本人の扶養家族の存在、年齢等を考慮して、2800万円を超える慰謝料額が認定されている事案は多数掲載されています。

本件では、これらの裁判例を参考として、粘り強く交渉を重ねたことで、最終的には、裁判外の事案では珍しく死亡慰謝料として3100万円の認定がなされるに至り、無事解決となりました。

自転車乗車中の事故は要注意

本件のように自転車に乗っているときに事故の当事者となり不幸にもお亡くなりになるというケースは広島県内でも一定数発生しています。令和7年は広島県内の交通事故による死者58名のうち11名が自転車事故でお亡くなりになっています。同じく令和6年は死者68名のうち7名でした。単純な比較ですが、死者数は減っているのに自転車に乗っているときの死者数は増えており、割合が急増していることが分かります(参照:広島県警察ホームページ。統計資料 > 交通事故統計 | 広島県警察)。広島県内でも生じる可能性が高い、自転車の死亡事故については、過失割合が争点となることも多く、慰謝料の金額においても保険会社の提示をそのまま受け入れるのでは、結果として不当な賠償となることが多いため、少しでも早く専門家である弁護士に相談されることを強く推奨します。

 

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